「・・・それ、どうしたの?」
「家具屋さんで買ってきたの。折りたためるし、便利だなって」

がそこそこ大きな段ボールを持って帰って来たと思ったら
中から出てきたのは組み立て用の紙とボルトとプラスチックの板。
最初はお帰り、と言った後ブログの更新をしていたんだけど
何か組み立て始めて、手伝わないのも悪いなと思って声をかけた。

「・・・机?」
「そう。机、シャーロックが事件の書類とか新聞を机の上に広げるでしょ?
キッチンの方は実験道具でいっぱいだし。
事務作業とか、コーヒー置いたりするのにいいなって。安くなってたしね」
「それにしても低くない?」
「カウチとソファに合わせて低めを買ったの。
使わない間はたたんで壁にかけとかないと、すぐシャーリーの実験道具か雑誌でいっぱいになりそうね」
「手伝うよ」
「うん、ありがと、」

作り自体はあまり難しいものでもなさそうで、ドライバーがあれば完成出来るようだ。
僕らはああでもない、こうでもないといいながら机の組み立てに取り掛かった。

+++

「コーヒー淹れようか」
「うん、そうね」
やっと完成した机を早速広げてカウチの前に。
割といい。というかすごく便利だ。
がキッチンからコーヒーを持ってきて手渡してくれる

「これ飲んだら、僕は行くね」
「あれ・・・今日?」
「うん。バイト。2時間ぐらいだから、夕方には帰ってくるよ」
「ごめん。貴重な時間を!」
「いいよ。シャーロックいなかったし」
「そういやシャーリー何処行ったの?」
「さぁ。朝からいないよね。」

と言っても彼が行く場所なんて大抵思いつく。
博物館か図書館かバーツかヤード。
僕はそこに残っていたコーヒーを流し込んでジャケットをつかんだ

「じゃあ行ってくるね。」
「行ってらっしゃい。私も書類仕事がんばる」
「頑張って」

僕はそうして221bを後にした。

+++

僕がフラットに戻ってきて、ドアを開けるとすごく不思議な光景が広がっていた。
床に座って折りたたみの机にうつ伏せになって寝息を立てている

その後ろでソファに座ってを抱き込んでるシャーロック

「・・・・・。」
「・・・・・。」

何か、すごく見ちゃいけないものを見たような気がした。
僕らは眼を合わせて、黙りこんだ後

「・・・・。」

シャーリーがすごく不機嫌そうに眉間に皺を寄せた

「た、ただいま。」
「・・・ッチ・・・お帰り」
「今舌うちした!?」
「してない。」
「いや、したって!」
「ジョンが帰って来たせいで出来なくなった」
「な、なにを・・・」

が寝息を立てているせいで自然と声が小さくなる。
シャーロックはを背中から抱きこんで、べったりくっついた
相変わらず不機嫌そうだ。
は、少し眉間に皺を寄せたものの、起きる様子はなさそうだ

「ベッドに移動させた方がいいんじゃない?」
「もうすぐ食事に出かける。起こさなきゃならない」
「・・・あれ、豚肉・・・」
「実験に使った」
「ああああ!なにしてくれてるんだよ!」
が起きる!」

ひそめられた声で僕は精いっぱい怒った。
最近、事件が起こらないせいで、ドラゴンの姿になっては壁を燃やしてる。
そろそろ貼り替えないとハドソンさんを誤魔化すのも限界だ。
すり、とシャーロックがの首筋にくっついた
見てるこっちが恥ずかしい。

「・・・ちょっとまて!」

と思ったのは一瞬
シャーロックはと口を開いてに噛みつこうとした

「・・・・ッチ・・・・」
「駄目だって!やっと傷も後も消えてきたのに!」

僕が帰ってきて出来なくなったことってこれか・・!
シャーリーは不服そうにしてを抱きしめる腕に力を込めたみたいだ
がすごく苦しそうにしてる

「・・・・・もう、夕食に行こう。」
「起こさなきゃな」
「うん」
「じゃあ・・」

あ、と僕が声を上げる前にシャーリーはの首に噛みついた
と言っても甘い噛みだから痛いわけじゃないだろうけど
の体が大きく跳ねて項を抑えて起きあがる

「っ!!!?!?!??」
「おはよう、、食事に行くぞ」
「・・・へ?あ・・え?いた・・・え?」
「あー・・・・ごめん」
「な、なにが?ちょっと・・」

シャーリーはストレスが多少発散出来たみたいで嬉々としていつものジャケットを羽織った。
僕は頭を抱えてとりあえず謝る。
?マークを飛ばして項を抑えるがどういうこと?って聞いてくるけど
シャーロックの機嫌が落ちついてる今、機嫌を損ねるのは賢くない
あとでこっそり教えてあげよう。
とりあえず、座ったままのに僕は手を差し出した。